木内一裕著「嘘ですけど、なにか?」を読みました。

出版社編集部員の亜希は頭の回転が早く、その機転でわがままな作家たちを手なずけてきた。
ある日、ドラマのように知り合った男待田はどうやらエリート官僚。酔いに任せてそのまま関係を結んでしまうが、亜希には迷いが出てしまう。そんなある日、彼の家でとんでもない会話を聞いてしまい・・・

最初は勝気な女の恋愛ストーリーかと思いきや、とんでもない事件が起こり、待田と亜希の関係性がどんどん変化していくのが面白い心理ミステリー。
亜希は口からスラスラ出てくる言葉を巧みに使い、これまでの危機を乗り切って来たのだけれど、今回は少々相手が悪過ぎた。
何とか事態を有利に進めるよう機転を利かせるのだけれど、そこに様々な人間模様が絡み、まるで短編を読み繋いでいくように人々の関係が交錯する展開に、読むスピードも上がっていきました。
それにしても、亜希の鋭い洞察力に感心するシーンもしばしば。怖いくらいに人の心理を操作するのがうまい亜希には尊敬すら覚えます。
こんな風に仕事ができたら、楽しいんだろうなぁ。







おしゃれな装丁ですね。
彼の作品はまた別のものも読みたくなりました。