大島崇裕著「問題物件」を読みました。

業界大手の大島不動産の総務部に偶然にも入社できた若宮恵美子に与えられた仕事は、事故で急逝した前社長の1人息子で重い病に侵されている雅弘の世話をすることだった。
ところが社長の弟である現社長との確執による派閥争いのあおりを受け、恵美子は突然役員である雅弘を室長に据えた販売特別室に異動となってしまう。
病床の雅弘を追い出そうとする作戦を阻止するため、問題とされる賃貸物件のクレーム処理という無理難題を強いられる部署で奮闘することになった恵美子。ただ、無茶な依頼を解決するすべもなく途方に暮れていると突然、探偵と名乗る犬頭光太郎という男が現れる。その行動力と不思議な力を秘めた犬頭に指示されながら、恵美子は雅弘のために奮闘することを誓う。


不動産関係の会社で仕事をしていたこともあったので、この「問題物件」というタイトルに惹かれました。
難しい病に侵され闘病中の雅弘を救うため、恵美子は目の前に突きつけられた理不尽な厄介ごとに立ち向かうわけなのですが、解決に向かうための面倒なプロセスはスーパーマンである犬頭によってサクサクと割愛できてしまうというミステリーにあるまじき離れ業をやってのけます。

犬頭の能力はまだ底知れないものがあり、彼の力が唯一及ばないのが「雅弘の病気の完治」というよくできたお話。
販売特別室の失態を待ちわびる、現社長派の面々。雅弘の完治に一縷の望みを託している前社長派、この二つの勢力に翻弄されながらも、雅弘を守るために問題解決に全力を尽くす恵美子と犬頭。

この犬頭の正体は割と早くからわかってしまうのですが、謎解きの過程よりも結果に重きを置いたミステリーで、いろいろなことが後半に向かうにつれしっくりくる、という流れになっていました。
難しいことを考えないで、さらっと読めるエンターテイメント。これ、ドラマ化してほしいなぁ。

どうやら続編もあるらしいので、ぜひチェックしたい。

問題物件 (光文社文庫)
大倉 崇裕
光文社
2016-07-12






大倉さんって、檀れい主演でドラマ化された福家警部補シリーズの著者だったんですね。