群ようこ著「パンとスープとネコ日和」を読みました。

wowowでやっていたドラマが大好きで、もう何回も見ていましたので、小説はどんな感じかなと興味津々でした。


アキコは父親の顔を知らず、食堂を営む母と2人暮らしの出版会社勤務の女性。
自宅の一階にある店で酔っ払って客と騒ぐ母親のことが好きになれず、アキコはなるべく店とは関わらず生きてきた。
ただ、その母が突然この世を去り、自分が本意ではない経理部署に異動になることを知ったことで会社を辞め、食堂を大胆に改装して店をオープンすることを決意する。ただ母親が大事にしてきた町の食堂ではなく、全く違う自分なりの店を作っていくアキコ。
そこには様々な葛藤、出会いと別れがあった。


ドラマ版は「かもめ食堂」のテイストが色濃くあったので、小説よりは淡々としたイメージ。
主演のアキコを小林聡美さん、頼りになるしまちゃんが伽奈さんということで、小説が先ならもう少し別のイメージを持っていたかも。
小林聡美さんゆえに、小説の中にあるアキコのジメッとしたエピソードや心のうちはうまく丸めて独特の世界を守っていました。

近くにあったらいいなぁと思える、素材にこだわり、味も極力素材の味を守ろうと薄味にしているアキコのお店。
同じようなナチュラルテイストの女性が集まってくることに疑問を抱きつつ、かつての常連さんが離れてしまったことにも申し訳なさを感じ始めるアキコ。
何も言わずに突然いなくなった母親の秘密をひょんな事から知ることになるけれど、同時に大切なネコがいなくなった弱さをそのことで癒されるというエピソードは微笑ましくも暖かい。
ちょっと同じような気持ちがぐるぐると旋回するところは、イラついたりもするのですが、それがまたアキコという女性の内面を印象付ける意味もあり、ドラマよりもより人々のキャラクターが感じられます。

アキコが母親と折り合えずに、葛藤する姿は女性としては共感するところもありました。

ドラマ版、また見たくなってしまったなぁ。

DVD発売していましたね。