紗倉まな著「最低。」を読みました。

スカウトマンと関係を持ったことでふっと足を踏み入れた女、会社が倒産した時に出会った男に誘われて制作側になった男とその男と一緒にいた女、セックスレスの夫との関係に不満を抱き気づくと自らを捧げていた女、母親が昔そうだったという少女・・・AV業界を軸に揺れ動く男女の関係を、現役AV女優が描く。

AV業界に足を踏み入れていく男女の姿を、決して堕ちたという視点ではなく、日常の延長のように描いた本作。あまり気持ちのいい描写ではない部分もあり、何となく胸がざわつくようなストーリーでした。
本当のところはわからないけれど、何か内側からのぞいているような書き方だったので後から調べると、作者が現役のAV女優(セクシータレントという言い方の方が正しいのでしょうか)であることがわかりました。 

ここでAV女優になっていく人たちは、決してお金のためというわけではなく、精神的な欠乏感から求めているようなところがあります。
周囲には決して理解されず、孤独と戦っていくことになることを、あまり躊躇なく選んでいる。それはもうすでに孤独で不安だから。
最初はわけもわからず飛び込んだけれど、いつの間にかその中にどっぷり浸かっていた制作側の石村という男が、その全てを包み込んで静かに立っている、そんな印象です。
 
読後感がすっきりしたわけではないけれど、このストーリーにしっくり来るようなタイミングって女性の人生の中には瞬間的にはあるものじゃないのかなと思えました。 女性の欲望が実にストレートに素直に描かれています。


最低。
紗倉 まな
KADOKAWA/メディアファクトリー
2016-02-12