中山七里著「連続殺人鬼カエル男」を読みました。

実は、このカエル男というワードを見たときに、小栗旬主演の映画「ミュージアム」の原作に違いないとなぜか思い込んでしまったのですが、全然違うらしい・・・(苦笑)


ある日、入居率の悪い瀟洒なタワーマンションにビニールシートにくるまれて吊るされた死体が発見される。その私怨すら感じさせない冷たい死体に、捜査一課の古手川と渡瀬は薄ら寒さを覚えるが、そこには拙い幼児のような字で書かれたメッセージが残されていた。その文言から「カエル男」とマスコミが命名し、そのメッセージで繋がれた第二第三の事件が起こると町中は得体の知れない犯人像に次第にパニックに陥っていく。
手がかりもない中、憶測だけで犯人像が祭り上げられ、意味不明の恐怖によって市民は狂い、その矛先は警察に向けられていく。
犯人は一体誰なのか、そして警察はその威信をかけて犯人とその裏側に潜むものをあぶり出すことができるのか。


とにかく、もう恐ろしくて犯人の目的や理由がわからず、そこに住む市民かのようにパニックに陥っていきます。物語の途中で連続殺人の法則が予想にせよ明かされたことで、逆にパニックが増幅していくというさまを描いていくのが実に見事。
初期の中山さんの作品を幾つか読むと音楽に絡めたミステリーという色が濃かったので、今回は違うのかなと思いきや、犯人を推察する上でキーとなる精神障害者に対しての治療としてピアノ療法というものが登場します。そこでの描写は見事で、さすがという感じでした。
物語は、ある時から異様な側面を見せはじめ、古手川が親友を死に追いやったつらい過去と対峙する上でピアノが重要な意味を持って語られていきます。
その裏に隠された事実。そして、自分が感じ、見たことに対して自信を失っていく居心地の悪さ。

そういったものがない交ぜになり、たたみかけるようなラストに向かってめくる手間も惜しいほどに先へ先へと気持ちが急くようなお話でした。中山さんらしい裏切りの連続で、なるほどと唸る部分も多々。

途中、市民がパニックになって警察署に押し寄せるくだりは、ややだれてしまいしましたが、それもまたラストに向かって重要な一つの事件なのでしょう。

とにかく、一気読みできる体制を整えてから挑むのをお勧めします。止まりません。


 

映画の方の原作は、この漫画らしいです・・・