群ようこ著「働かないの」を読みました。

こちらは、有名広告代理店で日々忙しく働いていたキョウコが突然すっぱりと早期退職し、今後はこれまでに貯めた貯金を月10万円ずつ切りくずすと決め、働かないで暮らそうとボロボロのアパートに住み始めるというストーリーの「れんげ荘」の続編です。 

同じくれんげ荘に暮らすおしゃれでどこか達観したようなところのある女性クマガイさん、旅好きでほとんどアパートにはいないコナツさん。そして今回、またれんげ荘にモデルかと見紛うような若い女性チユキがやってくる。引越し当日リヤカー一つで現れた彼女もまた、ちょっと変わった感性の持ち主。
周囲の住人に刺激を受けながら、キョウコは元来の生真面目さが出て、ついつい何もしていない日々に「何か」を求めるようになってしまう。

そもそも無職になったのも、「何もしない」と決めたからなのに、どこかそれに物足りなさを感じてしまう自分を、友達に相談したりしながら、本当の自分に触れたいと足掻く女性の姿がとても真摯でほっこりします。

キョウコは新たな趣味として刺繍を思いつき、公言してアドバイスをもらうことになったのだけれど、走り出したら止まれない性格ゆえ、つい生真面目に達成しようと考えてしまい、また友達から「考えすぎ」というお叱りをもらってしまう。
有名な会社に入り、自分で決めてリタイアしたとなると、よほど自分を持っている強い人なのかと思いきや、内面では揺れながらときには気持ちと裏腹の行動を取る主人公には、どこか憎めない側面があります。

とても穏やかに読める一冊。こういうのをカフェなんかに持って行ってのんびり読むといいのかもしれないなぁ。
自分が生真面目に思い込んでいること、「もしかして違うのかも」と思えてくるかもしれませんよ。

不器用な私は刺繍に気持ちが行くことはないと思うけど、もし自分が同じ立場にあったら長い1日をどう過ごそうか・・・と思わず考えてしまいます。何を切り捨て、何にお金をかけるのか。
それって実は本当に大切な物で、もしかして今の生活からも外して考えられることかもしれない。

年を重ね、あまり無頓着なのもいけないと自分を奮い立たせるところや、刺繍に関して人を巻き込んでしまったことに責任を感じてしまうなど、わかるわかる!と思えるところが多々。だからこそ、キョウコには何かを見つけてより充実してほしいと感じてしまいます。

もちろん次作もあるんだろうな・・・今から楽しみ。

 
働かないの―れんげ荘物語 (ハルキ文庫)
群 ようこ
角川春樹事務所
2015-08-07







れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)
群 ようこ
角川春樹事務所
2011-05-15