大崎梢著「スクープのたまご」を読みました。

日向子はまぐれか偶然か、希望した出版関係である千石社からの内定を得、入社二年目にして早くも過酷な部署と言われる「週刊千石」の事件班に異動することになった。週刊千石は千石社の看板雑誌であり、政治ネタから芸能人のスキャンダルまで何でも来いの大衆誌。そのあり方に正社員ながらも一定の偏見を抱いていた日向子は戸惑うが、徐々にその裏側を知るにつれ、迷いながらもその自覚と責任が芽生えていく。
そして、無関係と思われていた事件が繋がるらしいとの情報を得たとき、総力を挙げてのスクープ合戦が始まった。


スクープを連発し、その伝える強い姿勢に定評のある雑誌週刊千石。何となく週刊文春を思わせる書き方にリアリティを感じつつ、週刊誌というものがどんな風にして作られていくのか、取材、裏付け、情報源、そう言ったものがよくわかるお仕事小説です。
日向子は「スクープありき」の姿勢に抵抗を覚えるものの、「ただ噂を面白おかしく報道する」ということではなく、そこには裏付けに次ぐ裏付け、丁寧な選り分け、足で稼いだいくつものネタ、そう言ったものが集まり、ガセ・無駄・空振りなどの労力の上にようやく世の中に出るのだということを知り、ただ指示されたことを行い、食らいついていく中で成長していく。

福山雅治主演の映画「SCOOP!」を観ていたこともありますし、今年は例年になく週刊誌のスクープが世の中を賑わせていることもあり、そういう業界の裏側を見るという意味でも興味深い内容です。

ただのお仕事小説に終わらず、途中からは推理小説のような展開に。ただ、あくまでも出版業界が主軸でありますので、そのあたりは消化不良な結末ではありますが冒頭のシーンが後々に生きてくるという、粋な展開になっていました。

大崎さんの作品はこれが初めてでしたが、途中ちょっと難解な部分があったり、何度か戻って読んだりということもありました。文章に慣れていないだけかもしれませんが、あまりこれまでに読んだことのないタイプの作家さんかもしれません。

それにしても、これを読むと週刊誌への見方、ちょっと変わります。

スクープのたまご
大崎 梢
文藝春秋
2016-04-22