芥川賞を受賞した、本谷有希子著「異類婚姻譚」を読みました。

異類婚姻譚とは、人間と違った種類の存在が結婚するという説話のことで、日本にもその系統の話は残されており、主にその正体がばれて別離に至るというストーリーが多いようです。

ある日、専業主婦である私は旦那と自分の顔がそっくりになっていることに気づく。それはほんの些細な思いつきのようなものだったけれど、私はその事実から逃れられなくなり、そのうち、旦那の顔が時々歪むようになった。混乱する私をよそに旦那はくだらないゲームに没頭し、仕事への意欲を失っていく。


夫婦の顔は段々似てくる 、とはよく言うものだし、言われるものであるけれど、この本を読むとどうもそこにははっきりとした違いがあり、お互いとの境界が曖昧になる夫婦ほどそういう傾向が表れるようだ。主人公である私の旦那は、イライラするほどに自堕落な性格で、過去の離婚を「自分の本当の姿を出してなかったからだ」という反省から、私に対しては素の自分を認めて欲しいと何のてらいもなく本音を預けてくる。それを私も諦めて受け入れ、真剣に向き合うことを棚上げにして楽に仲良くするのを選んでいる。

少し心当たりがあるような、でもだからと言ってそれが悪いわけでもなく、淡々と物語は進んでいきます。
主人公の私はよく話をする夫婦とのやりとりや、長く同棲生活を続けている弟カップルとの交流により、何とかしようと思い立つのだが・・・

何となくラストがファンタジックで、あまり入り込めなかったのは事実なのですが、この物語が「異類婚姻譚」という題名がつけられている、と思うと、また別の見え方をするお話です。
文体はわかりやすく、読みやすいですが、謎が残る物語でした。

表題他3作品が収められているのですが、いずれも割と難解に思えるストーリー展開でした。ファンタジーの奥には重要なメッセージが隠れているようなのですが、一度読んだだけではなかなか理解できないのかも。

異類婚姻譚
本谷 有希子
講談社
2016-01-21