伊坂幸太郎著「残り全部バケーション」を読みました。

伊坂さん独特の複雑に絡み合う人間模様が、爽快なラストに向かって紡ぎ出される本作。 
さすがの伊坂節とでも言いましょうか、読んだ先から「ああ、これこれ」と言いたくなるような展開が満載です。


悪巧みの下請けとして、様々な悪事に手を染めている溝口と岡田。ある日、岡田はこのやばい裏稼業をやめて真っ当に生きたいと思うが、溝口から「適当な電話番号にメッセージをして、そいつと友達になること」をその条件として突きつけられる。友達などいない岡田はそれでも言うことを聞くと、その相手は今日まさに自身の不倫が原因で離散する家族の父親だった。面白がった家族は半ばやけくそで、岡田の誘いに乗ることになるが・・・


残り全部バケーション、とはこの岡田がなぜかドライブをすることになる「適当な電話番号の」相手である家族に「今日から無職。俺の人生、残り全部、バケーションみたいなものだし」というところから来ています。そしてこの言葉が、ラストの溝口の岡田への想いにつながっていくのです。

途中、これがどう関わっているのか・・・とわからなくなるようなこともありましたが、ちゃんとつながっていて、小説の決まり手というものがあるとしたら、見事に最後技あり!と言いたくなるようなラストでした。
ラストはあまりはっきりと描かれていません。
ただし、きっとこうだろうということが物語全体から伝わってきて、それが伊坂さんが積み上げてきたこの物語のトーンなのではないかと思いました。残りは全部バケーションだと思える人生があるとしたら、一体自分にはどんな物語が用意されているだろう。そんな風に想像すると楽しくなりました。

こういうよくできたパズルのようなお話は、時々中毒のように読みたくなります。
伊坂さんの作品はまだまだ読んでないものが多いので、また是非トライしたいものです。