荻原浩著「花のさくら通り」を読みました。

ユニバーサル広告社は倒産寸前。資金繰りに困った社長はついにオフィスを寂れた商店街の一角に移転。そこはイメージが大切な広告社にあるまじき、シャッター通りだった。
ひょんなところから、惰性で続けているお祭りのチラシを頼まれた面々は、街の活性化にも一役買うことになり、知識と経験を武器に商店会の面々に提案をしていくのだが、頭の固い年寄り店主と新参者の若いオーナーたちの間に挟まれ、右往左往することになる。

ユニバーサル広告シリーズの第三弾とのことですが、実は今作が初めて。ただそんなことは気にせずにどんどん読み進められました。
寂れた街に巣食う問題点、それをただ外側から解決するのではなくて全体を巻き込み一緒に成長していくというストーリーが爽快な物語でした。
傾きかけている広告社。己のプライドはあるけれど、時にはそれを曲げ堪えなくてはならない局面もある。ただし、負け続きなのではなくて「ここ」という境界線は誰しも持っている。個性的な社員とそれをまとめるちょっとお茶目なところもある社長。その人間関係も魅力的でしたし、商店街を立て直すため全ての店舗を巻き込むことがいかに難しいか・・・今の地方が抱える問題の答えがもしかしたら隠れているかもしれません。

問題を外側からも、内側からも見極めることが重要で、だからこそ広告社の杉山たちも時に空回りしながら成長していくのです。

完全に復活しないまでも、商店街全体がまとまっていく様は痛快でスッキリします。
それぞれが抱える個人的な事情にも魅力あるストーリーが多々あり、飽きさせません。

人の裏側がどうのとか、予想もつかないどんでん返し、後味の悪いミステリーなどにほとほと疲れてしまった読者にはオススメ。清涼剤となって、読書意欲をかき立ててくれるでしょう。