有川浩著「ストーリー・セラー」を読みました。

読書友達から読んだというメッセージが届き、「これは読書談義するためにも・・・」と手に取りましたが、何とな〜く読んだことあるような。と思ったら、前半部分だけは幾人かの作家さんが参加された短編集に収められていました。その時の私の書評がこれです 。

SideAとBにわかれている二つのお話。どちらとも「作家である妻」と「それを応援する読書好きな夫」との話になっています。

思考をすると寿命を縮めてしまう奇病を宣告された妻は、それこそが生きがいであり人生であった作家だった。 彼女を取り巻く環境と、そこでより絆を深めていく夫婦の姿を軸に、生きがいとは何か、人生とは何かを必死に考え抜くラブストーリーがSide A。
そして、Bでは会社員の顔を持つ作家である妻と渉外部に所属する愛想はいいけれど決して自分のエリアに立ち入らせない夫とが紡ぐ、嘘のような本当のような話。
 
同じ本の中でside A・Bとなっていたので、同じ出来事の夫側と妻側の視点でAとBに分かれているのかなと想像していましたが、 それは見事に裏切られ、でも完全に切り離しては語れない、非常に複雑かつ、独創性の高い物語でした。
双方とも、作家である妻と、その妻の作品をどの読者よりも愛している夫との夫婦の物語。
愛しているが故に抱える葛藤。愛されているが故に感じてしまう深い情愛と執着。そういうものが見事に二つの話で丁寧に描かれていて、有川浩さんご自身の体験も多く活かされている話なのかなと思いました。
 
自分の近くにいる人に認めてもらいたい。これは誰にも共通するごく当たり前の願望であるのに、ここに書かれている主人公によればそれだけでは徐々に飽き足りなくなる。そういう人間のわがままもきっちり表されていて、エゴを露呈することは必ずしも清々しいことばかりではないはずなのに、それを堂々とできる有川浩さんの度量の大きさを感じました。

良くも悪くもご本人に当てはめられる可能性が高いストーリー展開ではありますが、主人公に課した強さと弱さは有川さんが感じている素直な気持ちなのかもしれません。

それにしても、こんな夫だったら気持ちいいだろうなぁ。物書きのはしくれとして、応援してくれる人を堂々と欲するコトってそんなに恥ずかしいことじゃないのよね、なんて思えました。

文庫本で発売になってますので、読みやすい! 




これもなかなかの粒ぞろい!!ここから単行本になるまでのお話も、本編では垣間見ることができます。本当のことかは・・・わからない!