馳星周著「アンタッチャブル」を読みました。

捜査一課の宮澤は勤務中に起こした事故により異動を命じられた。異動先は公安部外事三課。唯一の上司は椿警視。その類まれな才能とコネで将来を有望視されていたが、妻の浮気と離婚から頭のネジが外れ、今やアンタッチャブルな存在となっていた。 妄想すれすれの椿警視に付き合ううち、宮澤は彼の本性に翻弄されていく。 


とにかく、壮大なストーリーなのでありますが、この椿警視のキャラクターのみで突っ走っていくような展開です。
最初から、もしかしてこれは・・・という謎が散りばめられているのですが、宮澤と同じく「椿警視の本当のところ」は煙に巻かれて最後までわからない。
その中で、捜査一課にこだわる宮澤と、お荷物である宮澤を冷笑する公安部。宮澤自身の中でも対立していますが、椿のことは「警視だから」という思いだけでなく気にかけている自分にも気づく。
男臭い世界の中でそのパワーバランスに変異が生じたとしたら、心を壊したり必要以上に疑心暗鬼になったり優位に立ったり、いろいろ思うところはあろうけれど、果たして椿警視のようになるだろうか。

これは妄想なのかどうなのか。

刑事小説にしては、重要なのところが曖昧で早く先をと一気に読めます。その厚さにひるむなかれ。最後まで楽しめる要素満載のエンターテイメント小説です。 

アンタッチャブル
馳 星周
毎日新聞出版
2015-05-16