米澤穂信著「満願」を読みました。

2014年このミステリーがすごい!の一位を獲得した本作。話題になってからずいぶん遅れてしまいました。

表題作「満願」を含む短編6作を収録。
警官に向かない男の、最期を語った「夜警」。死にたい人が訪れるという宿に、かつての恋人を追ってきた男が直面するある事件「死人宿」。モテるけれどろくでもない男に翻弄される女たちを描く「柘榴」。エネルギー資源確保の最前線に生きる男の息詰まる日々を描いた「万灯」。器用ゆえに何でも屋になってしまったライターが踏み込んだ危険な連続事故死の謎「関守」。かつての恩人を弁護した元苦学生の弁護士が遭遇する秘密「満願」。
これだけ書いただけでも、著者の幅広い知識がうかがわれますが、それ以上に特筆すべきは結末にこれまでの景色をそっと裏返すような仕掛けがあること。
一旦、出来事は落ち着いたように見えて、もしかしてこうだったかもと思わせる余韻を残します。

日常においても、一方から見ていただけではわからなかったことが露呈された時、ひどくショックを受けると同時に、自分の浅はかな思考に嫌気がさすことがあるのですが、そんなちょっとした誤解やすれ違いを卓越したストーリー展開でまざまざと描き出します。

衝撃のドンデン返しという派手さはないものの、じわりと心に残る、実にスマートな作品たちでした。
このミステリーがすごい!の歴史を眺めると、米澤さんは度々トップテンに名を連ねていますね・・・文章から伝わる博識さや、実力をさらりと感じるのにオススメな短編集の本作。
読み応えも十分でした。

「満願」


満願
米澤 穂信
新潮社
2014-09-12