東野圭吾著「虚ろな十字架」を読みました。東野作品は大半が読書仲間のKちゃんが貸してくれます。ありがとう!!

中原はある日、刑事の訪問を受けた。離婚した元妻が何者かに殺されたらしいと言う。
「もし離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった」という彼は、辛い過去を背負っていた。
罪を犯したものではなく、被害者遺族のその後の人生や心情に迫る、ヒューマンミステリー。


もう圧倒的な迫力のストーリー展開、全然読む手が止まらずに一気に最後まで読み切りました。
私などが軽々しく口にできるはずもない、犯罪とその周囲の人々の気持ち。
ある者は、心静かに日々を送りたいと願い、ある者は贖罪の気持ちを一日も忘れずに日々を過ごし、ある者は自分の経験を活かし前に進もうとしていた。
その誰もが、楽になりたい、楽にしてあげたいと願うのだけれど、その願いが一度掛け違ってしまったら。

罪を犯したら逮捕され、法のもとで裁かれて償う。この一連の流れの中に、様々な人の願いや想いや理想があって、全てを納得させる結末は決してない。
その重みを受け止められず、すごく複雑な気持ちで読み終えました。本作を描くにあたってどういう取材をされたのかわかりませんが、丁寧に人々の気持ちを描ききった作品になっているのではないでしょうか。

でもやはり、私には非常に難しいテーマでした。