池井戸潤著「ようこそ、わが家へ」を読みました。これも読書仲間Kちゃんから借りました。

ご存知、現在月9でドラマ放映中の原作。いきなりのっけからびっくりしたのですが、ドラマでは倉田健太という一家の長男が主人公なのですが、小説ではその父親(ドラマでは寺尾聡)が主人公なんですねまぁ確かに月9にするには、おじさまが主人公では・・・と思ったのかもしれませんが、それだけでも大分印象が変わります。

真面目が取り柄の会社員倉田太一はある日、柄にも無く駅のホームで割り込みをした男を注意する。その男につけられている気がした倉田は、何とか振り切って帰宅したと思ったのだがその翌朝からその男と思われる様々な悪戯が続くようになる。ストーカーのように家をつけねらう謎の男と対峙するため、一家は団結し知恵を出し合う。


このストーカー事件と並行して、倉田が出向する会社での不正疑惑についての追求というストーリーも展開していき、このあたりは池井戸さんらしい企業モノの様相を呈しています。
何かのきっかけで、嫌がらせが続くようになる我が家。誰もが得体の知れない不気味さに恐れを感じ、同時に憤りも感じる。
長男健太は、相手はゲームのように人を怖がらせて面白がっていると言うが、現代では個人情報の壁にも阻まれ、こういった一般的に軽微に見られがちな罪というものに立ち向かう術がないのだなとしみじみと感じました。
匿名だからこそ大胆になれる、顔を見られないと思うからこそ普段の自分とはかけ離れたことが出来る。
その恐さを、一般的な家庭を通して描くことで、リアルに感じさせられました。

倉田は、ごく普通のというよりも普通よりも及び腰の弱気な会社員で、銀行からの出向という1人よそ者の空気を感じ取って大人しく日々を過ごしている。波風立てなければ、受け容れられれば・・・と機嫌を伺う自分に嫌気がさし、ストーカーと対峙してくにつれ逞しさが増してきます。

爽快な最後というよりは、胸にひっそりと「ひと事ではない」気持ちを置いていく、そんなオハナシでした。 

それにしても、小説の中の健太は結構要領が良くて、逞しく無鉄砲な、若者らしい男の子です。相葉くんとはちょっとイメージが違うなぁ・・・