湊かなえ著「花の鎖」を読みました。

たった一人の家族である祖母が手術が必要だと言われているが、自身も無職になり落ち込む梨花。結婚したものの子供に恵まれず鬱々としている美雪。彼女の心の支えは前向きな努力家である夫だった。和菓子屋でアルバイトをしている駆け出しのイラストレーター紗月。母親との2人暮らしだが、最近結婚のことをうるさく言うようになった母親が鬱陶しい。
三人の女性のそれぞれの事情と彼女たちを取り巻く運命。その中に「K」という謎の男性も絡み、事態は複雑な方向へ転がっていくのだった。

「K」という謎の男性の存在が明かされたときに、「Nのために」を思い出し、アルファベットにまつわるハナシを連作で書いているのだろうか・・・と思いましたが、全体的には複雑に絡んだ糸をほどきながら読んでいるようで、途中でこんがらがりながら何とかゴールまで辿り着いた、とそういう感じです。

失った家族のことを想い、日々明かせない秘密を抱えながら生きる人々の強さと逞しさを感じられる本作。とくに女性の生き方ということにおいては、独特の凛とした風格がありました。

湊さんの作品は、あまり多くを読んだことはないのですが、これはどちらかというと映像に向いた作品なのではないかと思います。
登場人物が自分の中で、あまりはっきり区別されていないうちにどんどんと新事実が発覚していくので、追いつくのに必死でした。
なかなか高度なテクニックが必要です。

途中で休みつつというよりは、一気に最後まで読むことをオススメします。少し目を離すと、自分の中にあった物語の相関図がほころんできてしまうと思います。

ということで、これは一気に読んでしまいました。
謎の男の「K」がなぜそういうことをしているのか・・・ということが明かされますが、非常に明快でどのエピソードにも無理や不可解なところがないのはさすが。そういう意味では、湊さんの繊細な魅力を感じられる作品だと思います。