〜ストーリー〜
莢子は、派遣社員の32歳。過去に恋愛に急ぎ過ぎたトラウマから、今付き合って2年の、真面目で勉強熱心な彼氏との間は大事にしたいと思っている。ある日、ふとした疑惑が持ち上がり勇気を出して彼に不安を打ち明けた莢子だったが、思いも寄らなかった事態に揺れ惑う。


莢子はとくに正社員を希望しているわけではなく、ささやかな幸せを掴みたいとだけ願う、ごく普通の女性。職場の人間関係も割と良好で、程よい距離感を保ちつつ、ときに相談したり軽口を叩いたりし合う仲間もいる。立場や環境、悩みまでもがバラバラだけど、同じ職場にいる連帯感もあり、莢子はようやく自分の不安を口にすることができるが、それに対する答えもそれぞれ。

人が、悩み、考え、そして他の人にもその悩みを打ち明ける。どこにでもある日常風景なのですが、そこに答える人たちの背景、その人独特の経験に基づくアドバイス、そういうものが絡み合って、相談する人される人に何らかの跡を残すものだと思います。もちろん相談する人の中にも答えがあって、それと照らし合わせて答えをどこに導き出すのか。

人が人と接していく上で、その人の生い立ちや過去というのは現在のその人と深い関わりがあるものだということを痛切に感じました。それがどの程度自分に関わってくるのか、それはその人との今後の付き合い方にも影響してくる。
決して全てハッピーという結末ではなかったけれど、莢子はこれからの人生で、今回のことを乗り越えた自信に少しは助けられるのかなと思いました。