読後感想文〜書評show〜

フィクション大好き!こよなく本を愛するLULUがありのまま、感じたままに本を紹介します。好きな作家は、吉田修一さん、津村記久子さん。

お正月あけてから、気分的にアウトドアではなくかなりインドアだったので(笑)早めに布団に入って本を読んでました。

最初に読んだのは・・・


 

前回、愛猫であるたろちゃんを亡くしたアキコは、悲しみから脱出することなく日々暮らしている。同時に、軌道に乗り一時期の熱狂ぶりが落ち着いて来た店の今後を悩み始める。

変わっていく街並み、長らく店を続けて来た近所の喫茶店のママさんの意外な悩み、長く淡々と続けているイタリア料理店の夫婦との交流などを通し、アキコは自分の悩みの本当の意味を知っていく。

新年にふさわしい、穏やかなお話でした。

このドラマ大好きだったので、また続きを放映して欲しいなぁ。 

碧野圭著「菜の花食堂のささやかな事件簿」を読みました。

月に二回開かれる、菜の花食堂での料理教室。オーナーで先生でもある靖子は、凝ったメニューではなく誰にもできるような簡単な食事を、基本に忠実に丁寧に作ることを大切に教室を開いていた。
そこに月謝を支払う代わりに助手としてサポートすることになった優希。そこに集まる人たちは、主婦からママ友、定年後の男性や花嫁修業中の独身女性など様々で、靖子はその中心にいて皆に目を配る優しい笑顔を振りまいている。
ただその洞察力は鋭く、皆の小さな悩みや不安や問題を次々と解決に導き、料理と同じく確固たる信頼を得ていくのだった。


料理教室に集まる面々の些細な変化を見逃さず、小さなことから事の真相に迫っていく靖子。
靖子を慕い、自身も靖子に救われた過去のある優希。この2人がそれぞれの思いで、問題に迫っていき、そこには血なまぐさいミステリーとは無縁なのだけれど、実は身近な事件ってこういう事なのだなと思います。

少しのすれ違い、考え方の違い、思い違いなど、人に相談し自分の気持ちを吐露する事で解決することは、もしかしてたくさんあるのかもしれない。
人との関わりの中でゴールを探っていく人たちを見て、改めて現代にもこういうコミュニティって結構あるのではないか、と考えさせられました。

本当に「ささやかな事件簿」ですが、最後には皆を見守ってきた靖子の問題点にも触れるなど、一冊の本で実によくできた展開をする本作。今後の展開にも期待の持てるラストでした。


菜の花食堂のささやかな事件簿 (だいわ文庫)
碧野圭
大和書房
2016-05-20



著者の書店ガール、シリーズ化しているんですね。

書店ガール (PHP文芸文庫)
碧野 圭
PHP研究所
2012-03-16


羽田圭介著「スクラップ・アンド・ビルド」を読みました。
又吉さんの「火花」の方により話題が集まる中で、同じく芥川賞を受賞した本作。ようやく読めました。


離職したばかりの健斗は、母親と祖父と三人で暮らす若者。生きることに時々無気力になる祖父は故郷の言葉で耐えず「早う死にたか」と漏らす。ふとその願いを穏やかに優しく迎えさせてやろうと考えた健斗は、再就職がままならない日々の中で己の肉体をいじめ抜き、老いて衰えゆく祖父の気力を削ごうと若さと生命力に開眼していく。


この物語に登場する健斗は、決して残酷なわけではないけれど、若者特有のドライさを持ち合わせている青年。
本心はともかく、子供のところを転々とし、日中は何をするでもなく陽の当たらない部屋にこもり寝たり起きたりを繰り返す祖父の日常。何のアクセントも刺激もない毎日に一番飽き飽きして、終わらせたいと思っているのは祖父なのではないか。
離職し、再就職もうまくいっていない健斗は、一時的に「何もすることがない」状況に陥って初めて、祖父の願いのことを真面目に考え始める。
いつもしんどそうに家中を足を引きずるようにして歩き、同情を引こうとする祖父。何でも人にやってもらおうという姿勢にイライラを募らせる母親。
そんな倦怠した家の空気に、健斗は若者らしい発想で発起していく。その生命力がまさに未来に対する希望であり、活力なのだと、社会の縮図を改めて見せられたような作品でした。

スクラップアンドビルド、古いものは悪い、排除せよということではなくて、これまでの自分を壊して建設的な思想を持ち進んでいく、そんなことを感じ取れる芥川賞にふさわしい力作でした。

羽田さんはこんな風に一つのことについて、深く深く掘り下げていくような作品が特徴なのでしょうか。 何となく津村記久子さんに近いものを感じてしまいました。最新作のゾンビの話も、ちょっと興味があります。

スクラップ・アンド・ビルド
羽田 圭介
文藝春秋
2015-08-07



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