読後感想文〜書評show〜

フィクション大好き!こよなく本を愛するLULUがありのまま、感じたままに本を紹介します。好きな作家は、吉田修一さん、津村記久子さん。

三浦しをん著「あの家に暮らす四人の女」を読みました。

谷崎潤一郎の描く「細雪」を現代版にしたという本作。
名前の一部を、細雪に登場する四姉妹に見立て、母・娘そして娘の知人である2人の女性の合わせて4人の女たちの暮らしを描いています。

父親の顔を知らずに育った刺繍作家の娘、お嬢さん気質が抜けずにちょっと浮世離れしている母親、そしてしっかりものの女と、どこか天然でストーカーにつきまとわれたことから避難してやってきた女と、一つ屋根の下で暮らすことになった、家族ではないけれど家族みたいな女たち。
そこに、離れで暮らしている用心棒のような老人を含め、疑似家族のような関係性でお互いに少しずつ頼りにしながら生きている。

こういうシェアハウスってこの先どんどん当たり前になっていくのかもしれません。
結婚したから、血縁関係だから、そんな従来の繋がりではなくて、束の間かもしれないし、もしかしてずっと続くかもしれない、あまり過干渉になりすぎず、でもみんながみんなを適度の距離感で気遣い心配する。
家族という関係が小さく、少なくなっているからこそ、成立する新しい形なのかもしれません。

三浦しをんさんのお話は、どこかファンタジックで、でもちゃんと自分の世界を持っている人を実にさりげなく、格好つけずに描いています。
独特の言い回しも職人っぽくて、読んでいると教科書の中の物語に出会ったような居住まいを正す文章に出会えて新鮮。ちゃんと物語がそこにある、そういう雰囲気があります。
語られる文章が、誰にも偏っていなくてそれがとても不思議だったのですが、途中でその謎が解けます。なかなか洒落た仕掛けで、それもこのお話の魅力なのでしょう。

そう言えば少し前に小学生の姪っ子ちゃんが将来仲良しの友達と2人で暮らすんだよ、と未来像を話してくれた。「いざ彼氏ができたら、女同士で一緒に住もうね、なんて話は忘れるんだろうなー」なんて意地悪なおばさんは思ったけれど(笑)、案外そういう約束が成立する世の中なのかも・・・しれない。




あの家に暮らす四人の女
三浦 しをん
中央公論新社
2015-07-09

 

木内一裕著「嘘ですけど、なにか?」を読みました。

出版社編集部員の亜希は頭の回転が早く、その機転でわがままな作家たちを手なずけてきた。
ある日、ドラマのように知り合った男待田はどうやらエリート官僚。酔いに任せてそのまま関係を結んでしまうが、亜希には迷いが出てしまう。そんなある日、彼の家でとんでもない会話を聞いてしまい・・・

最初は勝気な女の恋愛ストーリーかと思いきや、とんでもない事件が起こり、待田と亜希の関係性がどんどん変化していくのが面白い心理ミステリー。
亜希は口からスラスラ出てくる言葉を巧みに使い、これまでの危機を乗り切って来たのだけれど、今回は少々相手が悪過ぎた。
何とか事態を有利に進めるよう機転を利かせるのだけれど、そこに様々な人間模様が絡み、まるで短編を読み繋いでいくように人々の関係が交錯する展開に、読むスピードも上がっていきました。
それにしても、亜希の鋭い洞察力に感心するシーンもしばしば。怖いくらいに人の心理を操作するのがうまい亜希には尊敬すら覚えます。
こんな風に仕事ができたら、楽しいんだろうなぁ。







おしゃれな装丁ですね。
彼の作品はまた別のものも読みたくなりました。

書評というほどでもないけれど、AAAのデビュー11周年を記念して出されたオフィシャルブック「あのとき、僕らの歌声は。」を読んだので記しておきます。


 

エイベックス所属の男女混合メンバーとして、レコード大賞の最優秀新人賞を獲得した彼ら。 それからの11年の葛藤を、メンバーそれぞれの視点から時系列で追っていく本作。
それぞれの賞には、AAAの楽曲タイトルが付けられており、「メンバーのインタビューを元にして作られたフィクション」ということですので、全てが本当ということではないのかもしれないけれど、エピソードを追っていく限り、AAAの成り立ちやそれぞれの気持ちなどが伝わってくる作品でした。

エイベックスのオーディションを勝ち抜いた人達だけが残り、レッスンをする日々。
その中で、「デビューできるのはたった一人」だという意識のもとに、みんなライバルだと思ってやってきた人達とある日突然「男女混合ユニットとしてデビューする」と告げられた時の戸惑い。
デビュー目指して活動するも、なかなか具体的に物事が進まない。そんな不安の中でようやくデビューし、たった三ヶ月でレコ大の最優秀新人賞を獲得。夢のようなスタートを切ったもののヒットに恵まれず、ただ忙しい毎日の中でいかに自分らしく輝けるかを模索していくそれぞれのメンバーたち。

このレコ大新人賞の時の記憶がおぼろげにあるのですが、それから本格的に楽曲を聴くようになるまで数年。私が好きだと公言する頃には名古屋でも2日間の公演をするほどになっていたので、苦悩の日々の実感はあまりなかったのですが、メンバーの意識が固まって今のような雰囲気になるまでに相当葛藤があったのだろうなと推測しました。

AKBやEXILEのように「メンバーになりたくて」応募したわけでもない。バンドのように声を掛け合って一緒に始めたわけでもない。生まれた場所も違えば、それぞれがソロデビューを夢見て応募してきた人ばかり。たまたま最終審査まで残って、一緒にレッスンをしたライバル同士。そのメンバーが走ってきた11年のほんの一部分を垣間見た一冊でした。

それにしても15周年の小説出す時には、いやNissyの小説出す時にはぜひ声かけて欲しい〜(笑)

 

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